最先端技術オリンピック

ある時、最先端の技術を競い合う世界大会が催された。各国は、それぞれ一流の技術を披露し、そのレベルの高さを世界に誇示しようとした。

アメリカチームは、直径1ミリのグラスファイバーチューブを数日で造り上げ、それをドイツへと送った。

ドイツチームは、アメリカ人の造ったチューブの内側に細いワイヤーを通し、それを香港へと送った。

香港チームは、ドイツ人の通したワイヤーよりも、さらに細いワイヤーを通した。それが最終的に日本に送られた。

しばらくして、それは日本から審査員のもとへと届けられたが、一見すると何も手を加えられていないように見えた。審査員たちは一様に首を傾げ、日本人に、

「いったい、何をしたのだね?」
と聞いた。すると日本人は、ワイヤーを顕微鏡の下に持っていった。

ワイヤーには、「MADE IN JAPAN」という文字がくっきりと刻印されていた。