第5週

テキスト:第五章

最近は日本語でのメールのやりとりは基本的に大丈夫になってきていますから、ここではもう少し理解を深めて、問題が起きたときに対処でき、他の人を助けてあげられるようになってください。具体的には、自分がどのようなソフトを使っているのか、そのソフトの設定はどのようにしてあるのか、そしてインターネットにはどのようにつながっているのかなどを自分で理解してください。

 

追加説明

電子メールと文字化け(執筆中)

日本語のメールが文字化けする原因はいくつかあります。文字化けの現象は日本の国内市場で販売されているコンピュータでは起こりませんから、国外で使用されているコンピュータ、または、国外でコンピュータを使っているという状態を想定して説明します。

まず、基本ソフト(オペレーティングシステム)が日本語対応になっていないとそもそも日本語が表示されませんから、日本語でのメールのやり取りはできません。しかし、現在一般的に使われているパソコンに搭載されている基本ソフト(Windows Vista, Windows XP, Mac OSXなど)は すでに日本語対応していますので、基本ソフトが日本語以外のバージョン(英語版、ドイツ語版、トルコ語版など)であっても日本語の処理はできます。その場合でも、地域言語設定(英語ではRegion al and Language Options)で日本語サポートをオンにする必要はあります。Win 95やMac OS8などの古い基本ソフトが搭載されているパソコンでは日本語をサポートするシステムを基本ソフトに組み込む必要があります。

次はメールソフトですが、現在メールソフトには大きく分けて二つのタイプがあります。一つはメール専用ソフトで、もう一つは「ウェッブメール」として総称されるものです。メール専用ソフトとはMicrosoft Outlook、Entourage、Eudoraなどです。「ウェッブメール」とはhotmail、Web Mailなどのことを指し、これらはすべてWWWのブラウザの中でページを開く形で動くものです。(例えば、Internet Explorerでhotmail.comを開く)したがって、メール専用ソフトはありません。ここで、カタカナ書きのウェッブメールとアルファベット書きのWeb Mailは別のものを指していることに注意してください。Web Mailは、hotmailと同様で、ウェッブメールの特定の商品名です。Web Mailは米国の大学の多くで大学全体用のウェッブメールシステムとして採用されています。また、Microsoft Outlookには通常のメール専用ソフトとしてのOutLookとは別にMicrosoft Outlook WebAccessというウェッブメールもあります。

タスク1:以下の鈴木さんと山田さんの会話は納得でいますか?

鈴木:「山田さんのメールはhotmailですね。」
山田:「はい、そうです。ですから、ソフトはhotmailです。」
鈴木:「いいえ、hotmailはメール専用ソフトとは言えませんから、ソフトはIEのようなブラウザを使っていることになります。」
山田:「ああ、そうですか。」

タスク2:ご自身がメールのやり取りのために使っているのはどちらのタイプのものか書いてください。そして、メールアカウントはどこのものか、ソフトは何を使っているかを書いてください。

日本語のメールのやり取りを正常に行うにはどちらのタイプであっても、そのシステムが日本語メールの対応していなければなりません。広く使われているシステムの中で、Web Mailは日本語に対応していません。hotmailは対応しています。その他の無料メールアドレスをうたっているウェッブメールはほとんど日本語に対応しています。

日本語をサポートしているメールシステムは、通常、送信メールを「JIS」または「iso-2022-jp」という名前の文字コード(code)を使って、送ります。そのほかの文字コードにはShift-JIS 、UTF-8、EUCなどがありますが、ここでは「JIS」(iso-2022-jp)というコードをまず憶えておいてください。

では、受信トレイに入っているメールがどのコードで送られてきているかをチェックしてみましょう。そのためには、「メッセージのソースを見る」ということをします。メール専用ソフトによっては、表示(View)メニューに「ソース(source)」という項目があるものもあります。そのような項目が用意されていない場合でも、Viewメニューのどこかに同様のものがあります。例えば、Microsoft Outlookではメッセージを開けて、Viewメニューの「options」という項目がありますから、それを開けます。 ソースというのは大体以下のようなものになるはずです。hotmailではオプションの受信メールの表示方法を「詳細」に設定するとソースが見られるようになります。

(ムービーヘルプ:Outlookでメッセージのソースを見る WMV形式)

Received: from 71.98.78.170 ([71.98.78.170]) by EXCH04.purdue.lcl ([172.21.6.26]) via Exchange Front-End Server exch.itap.purdue.edu ([128.210.63.104]) with Microsoft Exchange Server HTTP-DAV ;
Wed, 21 Feb 2007 05:46:23 +0000
User-Agent: Microsoft-Entourage/11.2.5.060620
Date: Wed, 21 Feb 2007 00:46:22 -0500
Subject: =?ISO-2022-JP?B?GyRCRnxLXDhsGyhC?=
From: Kazumi Hatasa <khatasa@purdue.edu>
To: Kazumi Hatasa <khatasa@purdue.edu>
Message-ID: <C20146DE.25C8B%khatasa@purdue.edu>
Thread-Topic: =?ISO-2022-JP?B?GyRCRnxLXDhsGyhC?=
Thread-Index: AcdVe53K3ItZF8FuEdu8JwAKlZHb/A==
Mime-version: 1.0
Content-type: text/plain;
charset="ISO-2022-JP"
Content-transfer-encoding: 7bit

$BF|K\8l(B

ここで注目して欲しいのは、このメッセージの場合、下から2行目の「charset="ISO-2022-JP"」の部分です。これはこのメッセージがISO-2022-JPというコードで送られたことを指しています。日本語のメールはこのコードを使うのが基本ですから、このメールの送信者が使っているシステムは日本語対応していると言えます。文字化けしているメッセージの場合はたいてい、ISO-2022-JPではないはずです。例えば、ISO-8859-1やSHIFT_JISとなっているかもしれません。また、UTF-8というのも見られるかもしれません。基本的に、ISO-2022-JP以外は原則に違反していると考えてください。

タスク3:自分宛にメールを送って下さい。メッセージは何でも構いません。それを受信したら、ソースを見て、どのコードで送信されているか調べてください。

 

ユニコード(UTF-8)について

最近使われはじめているユニコードという文字コードは世界中の言語のための文字コードの一体化を目指しています。基本ソフトもユニコード対応になってきました。これが全面的に採用されるとJISとかS-JISといった複数の文字コードのことを心配しなくてもよくなるはずですが、現状はまだそこまで達していないようです。メールソフトでもメールをユニコードで送ることができるものが出ています。(Outlook, Outlook Express, Entorageなど)文字コードの選択で、「UTF」が含まれているのはユニコードです。ただし、受け取る側のメールソフトもユニコード対応になっていないとうまくいきません。

 

HTML設定のメール

もう一つ、HTML設定のメールというのがよく使われるようになりました。最近(迷惑メールも含めて)いろいろな広告のメールがみなさんのところにも毎日のように来ると思います。そのようなメールは文字が何種類も使われていたり、色が使われていたり、写真が載っていたりとあたかもWWWのページのように見えるはずです。これは、メールソフトの設定で「HTML形式で送る」というオプションをオンにするとできるようになります。それに対する言葉は「plain text」です。こちらの設定では文字情報しか送ることができません。今回のメーリングリストのように内容重視で主に文字情報でやりとりするのが目的の場合は、HTML形式を使う必要はないだろうというのが私の立場です。なぜかというと、メールソフトの中ではHTML形式をサポートしていないものもあるからです。

自分のメールソフトで「HTML形式で送る」というオプションを切り替えることができるかチェックしてみて下さい。できるようだったら、設定を変えて実際にメールを送って試してみて下さい。(まずは、自分宛に送ってみて試してみて下さい。)

エンコード(encoding)

エンコードという言葉には二つの種類があり、別物なのでしっかり理解しておきましょう。一つは通常「文字コード」という言い方をするもので上にも出てきたJIS, シフトJIS (S-JIS)、EUC、ユニコードなどで、日本語の文字を表現するときに使われるコードを指します。もう一つは電子メールで添付書類を送るときにその書類をメールに組み込んで送信可能な形にするための加工方法のことを指します。MIME/Base64 、BinHex、uuencodeなどが代表的なものです。こちらは日本語とは関係ありません。