追加 2

PowerPoint (パワーポイント)について

PowerPointはプレゼンテーションソフトと呼ばれる種類のアプリケーションの代表的なものです。このごろはPowerPointがプレゼンテーションソフトの代名詞ような使われ方をしています。実際のプレゼンテーションはスライドショー(slide show)と呼びます。学会発表でもPowerPointを利用するものが多くなりました。(そのかわり、プリント(handoout)が減り、発表を聞きながらメモをとり記録/記憶に残しておくといったことが、やりづらくなりました。)プレゼンテーションソフトの使い方の基本は非常に簡単ですから、誰でもPower Pointを使った発表を行うことができます。しかし、Power Pointを使った発表では、コンピュータとプロジェクタが必須なので、発表者もその知識を持っていることが必要です。(発表の前に、「私のPower Pointが出ないんですが...」とあわてているのは恥ずかしいことですから。)以下に三つの可能性を考えてみました。

1 ノートパソコンとプロジェクタの両方を持参する。事前にすべてをチェックできるという点では、一番確実な方法です。プロジェクタも小型化していますから、そんなに大きな荷物にはなりません。しかし、学会発表などでは、会場に用意されているプロジェクタを使わなければならないことが多いので、持参のプロジェクタが使えないかもしれません。

2 ノートパソコンだけを持参する。多分一番一般的なパターンでしょう。事前のチェックは、ノートパソコンとプロジェクタとの接続の仕方、コンピュータの画面をプロジェクタを通して表示する設定のやり方をしっかりマスターしておくことです。それでも、会場に用意されているプロジェクタとの相性が悪く、うまく画面が表示できないという可能性も全くないとは言えません。私も特定のメーカーのパソコンが会場に用意されていたプロジェクタとの相性が悪くどうしても表示できなかったという経験があります。その時はほかのメーカーのパソコンを借りて発表はできました。(トラペンなどのバックアップを用意しておくのも、いいことでしょう。)

3 CD-ROMやジャンプドライブ(USBメモリー)のような大量記憶装置にPower Pointのファイルを入れて、持っていく。会場にパソコンとプロジェクタが用意されている場合には荷物が一番少なくてすみます。パソコンの機種、OSのバージョン、Power Pointのバージョン(つまり、Micorsoft Officeのバージョン)を確認すれば、事故はそんなに発生しません。ただし、トラペンのバックアップはあったほうがいいでしょう。海外の場合は、パソコンの日本語サポートの有無も確認する必要があります。

いずれの場合も、発表会場に行ってから、再度チェックすることが大切です。

学会発表用の例

2004年3月に米国日本語教師会大会(ATJ)で本講習についての報告をPower Pointを使って行いました。その時に作ったファイル三つをダウンロードできるようにしましたから、試してみて下さい。(Power Pointのファイルは三つのうちの一つだけです。)受講者のアンケートの資料も使わせてもらっています。(このプレゼンテーションはWindowsで行いましたが、PowerPointのファイルとワードのファイルはMacintoshでも動きます。wmvファイルはwindows media player9のプラグインをダウンロードすればMacintoshでも見えます。)

ダウンロード:ATJ2004Presentation.ppt assignmentExample.doc ruler.wmv

もう一つは、3ページほどのごく簡単なプレゼンテーションのサンプルファイルを作っておきました。こちらはタイトルや発表者をご自分の名前に変えて、加工してみてください。背景デザインもわざとあまり魅力的ではないものを選んでおきましたから、変えてみてください。

PowePointで新しいスライドを作るときは何種類もの用意された形式から選んでいくようになっています。これをテンプレート(ひな形)と呼びます。同様に、背景のデザインもテンプレートから選びます。ですから、いろいろな人のプレゼンテーションを見ていると、同じ背景デザインのものに出会うことがよくあります。

ダウンロード:samplepowerpoint.ppt

クラス用の例

授業のなかでどのようにPower Pointを使うかというのは、これからの課題でしょう。まず、部屋自体の整備がされる必要があります。米国の大学では視聴覚・IT機器が装備されている部屋をsmart roomと呼ぶ傾向があるようです。パソコンやプロジェクタをカートに乗せて、普通の部屋で使うという形態は、時間の無駄が多く、IT機器の授業内使用の定着にはあまり貢献しないだろうと考えられます。たまたま、私の勤務先の大学ではsmart roomがいくつか導入され、そこで日本語の授業が行える機会があたえられました。そうしたら、 大学院生のTA(Teaching Assistant)達の何人かがPower Pointをトラペン代わりに使うようになりました。また、ほかの大学の同僚達からも同様の使い方の話が耳に入って来ています。

このような環境の中で、トラペンとPower Pointとどちらのほうがより効果的なのかというのはおもしろい問題だと思います。トラペンは設定が単純で、授業を行いながら書き込むことも簡単にできます。Power Pointでは、今のところ書き込みはむずかしいですが、授業の後でファイルを学習者に配信し、復習させることができます。(タブレット型のPCが普及すれば、書き込みも簡単にできるようになります。)また、以前作ったものを手直ししながら、改善することも簡単です。

以下に大学院生達が作ったファイルを二つ例として用意しました。何かのヒントにはなるかもしれません。色々な使い方を考えてみてください。もう一つは、授業で使える簡単なフラッシュカードの例です。

ダウンロード:PPTClassroomSample1.ppt PPTClassroomSample2.ppt

ダウンロード:town_Vocabulary.ppt

プレゼンテーションを作るときの注意点

 大原則:プレゼンテーションは内容を伝えようとしているのであり、Power Pointの技法を見せているのではない。

1 文字による説明は短いほど、読みやすく、効果的。

2 背景デザインは全面にある文字が読みやすいものを選ぶ。(きれいさ、可愛らしさでは選ばない)また、絵や写真なども見やすいものを選ぶ。背景デザインはなくてもいいということを忘れないでください。

3 アニメーション機能は要所で効果的に使う。使いすぎは、逆効果。人間の目は画面上で動いているイメージに強く引かれ、ほかの部分からの情報はとりづらくなります。

4 文字の色の数は、3色まで。世界の信号の色がほぼ統一されているように、それぞれの色にはほぼ人間が期待しているイメージがあります。その期待を裏切らない色使いのほうが、見ている人にとっては楽です。(プレゼンテーションは芸術作品ではありません。)

5  Power Pointには各スライドにノートをつけることができます。ノートにそのスライドを見せている時に話す内容を書いておけば、発表原稿として使えます。印刷する時にノートを印刷するオプションが選択できます。