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日本語学習者用IM変換辞書

パデュー大学外国語学科
畑佐一味 (khatasa@purdue.edu)  チョン・ウォンチャン 


インターネットの機能を利用した外国語学習活動が行われるようになったことに伴い、日本語の学習者がキーボードを使って日本語をタイプする機会も増えてきました。日本語のキーボードインプットをつかさどるインプットメソッドエディタ(以下IME)はどれも日本語の母国語者を対象に開発されてきました。従って、それをそのまま日本語学習者に使用しようとするとスペリングの間違いなどに起因した不具合が発生します。(土屋 2000, Kubota 1999, Hatasa 2001) この問題を是正する一つのほうほうとしてIMEに間違いインプットで構成されたユーザ辞書を組み込む方法があります。(土屋 2000) 本プロジェクトではそのような辞書を日本語初中級者を対象にして開発しました。プロジェクトは現在まだ進行中であり、不完全な部分もありますが、この度βバージョンが配付できるはこびになりましたので、お試しください。そして、フィードバックをいただければ幸いです。

ウィンドウズのMS-IME用とマッキントッシュのことえり用の二つのパッケージを作りました。

ユーザ辞書は以下のように全部で6つあります。1000シリーズは頻度が高い漢字1,000(教育漢字をすべて含む)で構成された単語だけを含み、2000シリーズは頻度が高い漢字2000で構成されています(常用漢字)。どちらのシリーズもMinus-Dictはかなが脱落した項目を含んでいます。(例 銀行の読みとして「ぎんこ」 女の読みとして「おな」)Voicing-Dictは濁音に関する間違いを含みます。(例 銀行の読みとして「きんこう」 地下の読みとして「ちが」)Plus-Dictは不必要なかなが挿入(主に、長母音)されている項目を含んでいます。(例 辞書の読みとして「じしょう」)

どの辞書を使うかはそれぞれのIMEの設定ページで行ないます。ことえりでは環境設定パレット、ウィンドウズではMirosoft IME 2000のプロパティのページです。

ことえりの環境設定パレット

MS-IMEのプロパティ

下の図は「かくせい」とタイプした時の変換候補のスクリーンの例です。

   

「かくせい」とタイプした時の変換例(左:ことえり 右:MS-IME) 

ダウンロード

MS-IME用変換辞書 (Win 98 and Win 2000) 2.7 MB

MS-IME用変換辞書 (Win XP) 5 MB

ことえり用変換辞書 (Mac OS) 4.7 MB

ATOKユーザへ

ATOKはジャストシステムという会社が開発した商用のIMEです。

ATOKではメインの変換辞書もユーザが作ることができるので、上記の間違い辞書のほかに漢字1000レベルと2000レベルの二つのメイン辞書を作成しました。(1000-Main-Dictと2000-Main-Dict) 例えば1000-Main-Dictをメインのシステム辞書として指定した場合、変換時には漢字1000の範囲を超える熟語はいっさい出現しなくなります。従って、変換候補の単語や漢字の数が大幅に減少します。

ATOK13のプロパティ

「かくせい」とタイプした時の変換例(ATOK13) 

 

ATOKはウィンドウズ用もマッキントッシュ用もありますが、今回はウィンドウズ用のATOK13で作成した辞書をダウンロードできるようにしました。ほかのバージョンをご使用の方はそれぞれの辞書ユーティリティを使って作り直す必要があるかもしれません。

ダウンロード
ATOK13用変換辞書(Win 2000/XP) 7.4 MB

 

参考文献

土屋順一 (2000) 「外国人学習者の日本語ワープロ誤入力の分析と外国人用漢字変換辞書の開発」文部省科学研究報告書課題番号09680296

Hatasa, K. (2001) "Study of Japanese Input Method for Learners of Japanese" 35th Annual Convention of ACTFL. Washington D.C.

Kubota, R. (1999) "Word Processing and WWW Projcts in a College Japanese Language Class." Foreign Language Annals, 32(2), 205-218.


Last updated: 9/13/2002 by Kazumi Hatasa (khatasa@purdue.edu)

本プロジェクトはパデュー大学外国語学科テクノロジー支援外国語学習センターのサポートで開発されました。